乳腺炎-2(治療)

引き続き、乳腺炎に関して記載させていただきます。

治療としては以下の通りです。(The Academy of Breastfeeding Medicine Protocol参照)

1. 乳汁を乳房内に溜めない。
乳汁が乳房内に滞ることが乳腺炎の一番の原因となるため、頻回に、効率的に赤ちゃんに授乳することが最も大事です。赤ちゃんに正しく乳頭を咥えさせてあげて、患側の乳房より授乳を開始します。乳汁がたまっている方向に赤ちゃんの顎を持ってくるようにします。授乳中に食用油や清潔な潤滑油を用いて、乳腺の閉塞部分から乳頭に向かって優しくマッサージすることも有効な場合があります。

2. 休養、水分補給、栄養
十分な休養をとることは大事です。(これが難しいんですよね・・・。)

3. 患部のクーリング
授乳後は患部を冷やすことも有効です。この際、冷えピタなどの湿布剤は皮膚がかぶれること等がありますので、出来れば保冷剤をガーゼや薄いタオルに巻いて当てて頂くのがいいかと思います。

4. 薬物療法
授乳中はお薬を飲みたくないと言われる方も多いかと思われますが、授乳中でも飲める薬はあります。乳腺炎が重症化しないように必要があれば早期にお薬を内服して頂いた方が良いです。具体的には鎮痛剤、抗菌剤を使用致します。痛みで射乳反射が止まってしまう場合があるので、消炎鎮痛剤で痛みと炎症を押さえることが重要です。また、乳腺炎の症状が出現してから、12時間から24時間経過しても症状が改善してくる兆しが見られない場合は、感染が併発している可能性を考えて、抗菌剤による治療が必要となります。感染性の乳腺炎の起炎菌として最も良く見られるのは黄色ブドウ球菌ですので、その菌に対する抗生物質を内服して頂きます。また、葛根湯も乳腺炎にお出しする薬の一つです。

5. 外科的処置
感染を起こして膿の固まり(膿瘍)を形成することがあります。
その場合、注射針にて穿刺して膿を注射器で抜いたり、数ミリ皮膚を切開して膿を出す処置が必要になる場合があります。

出来るだけ、早期に1.2.3.を行って頂き、治すことが理想ではありますが、母親は一日中、授乳とお乳の手当だけして過ごすことはなかなか難しいです。(それが出来たら何よりなのですが・・。)お家で対処しても軽快してこない場合はご相談下さい^^

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